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風営法違反、甘く見ていると大やけど…「全治5年」はキツイ!
風営法(風適法)の違反、甘く見ていませんか?
内容によっては懲役と罰金と許可の取消し…といった非常に重いペナルティを同時に受ける場合があります。さらにその後5年間は、新たに営業しようと思っても、欠格事由に引っかかり、申請すら受けつけてくれなくなることもあるのです。確信犯は論外として、「知らなかったから…」という言い訳についても、一切通用はしません。「誰も何も隠してないよ、風営法にしっかり書いてあるでしょ。知らないアンタが悪いんだよ」と言われて終わりです。
とするならば、これに対する手立てはただ一つしかありません。そう、「どんなことをしてしまうと違反となるか」を事前に知り、その後は風営法を意識した経営を行うことです。
ここでは風営法の違反について、ざっくりとご説明したいと思います。
特に油断してしまいがちな点については、「風俗営業許可を取った後の注意点」にもまとめてありますので、あわせてご参照下さい。
■風俗営業、特定遊興飲食店営業を無許可でやってしまった
■不正な手段を使って許可を取得した(許可の相続、法人の合併・分割による許可の承継の場合を含む)
■名義貸しをした
■営業停止の処分を受けたのに、それに違反して営業した
■禁止されている場所で、店舗型性風俗特殊営業(受付所営業、店舗型テレクラを含む)を営んだ…など
上の行為は風営法の中でも最も重い罰則です。「懲役…罰金…の併科」とは、要はダブルで科されますよ、ということです。
無許可営業で指導を受けた、という相談は意外と多くあります。警察は定期的に巡回していますので、こうしたお店のことも、実はよく把握しています。バレていないと思っているのは営業者だけですので、指導が入る前(警察の愛情のあるうち)に対策をしておかないと、一斉取り締まりの時期などに真っ先に狙い撃ちされます。
深夜における酒類提供飲食店として営業していたとしても、たまたま接待行為にあたる事をしているときに警察の立入りがあったら、風俗営業を無許可でしている、ということになってしまいます。こうなると絶対に見逃してはくれませんので、この場合はすぐに当事務所までご相談下さい。のんびりしていると、取り返しのつかない事になってしまいます。
また、名義貸しや営業停止処分違反は、油断すると、ついやってしまうかもしれません。「ちょっと名義を貸すだけだから」とか、「営業停止はキツイな…ちょっとだけ営業しよう」などとは考えないほうがいいです。ましてや営業停止処分というのは、それを受けた時点で、警察からすでにマークされているわけですから、ちょっとでも変な動きをすると、すぐに「御用!」となってしまいます。
なお、ここに挙げられている行為をして捕まると、風営法の欠格事由に該当する事となり、現在許可を取っている場合は、その取消し、さらにその後5年間は新規で許可の申請をすることができなくなります。もちろん、これに加えて2年以下の懲役や200万円以下の罰金も受けることになります。
■営業所の構造または設備を、承認を受けずに変更した
■不正な手段で構造変更の承認を受けた
■不正な手段を使って特例風俗営業者(いわゆるマル優)の認定を受けた
■18歳未満の者に客の接待をさせた
■午後10時から午前6時までの間に、18歳未満の者を客に接する業務に従事させた
■18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせた
■20歳未満の者に酒類、たばこを提供した
■店舗型・無店舗型性風俗特殊営業において、18歳未満の者を客に接する業務に従事させた
■禁止されている場所で深夜における酒類提供飲食店営業を営んだ…など
この中でも特に注意していただきたいのは、「20歳未満の者への酒、たばこの提供」です。
18歳であれば風俗営業の営業所に入ることはできます。だけどお酒は飲めないのです…。立入OKとお酒の提供OKは必ずしも連動していないので、若いお客さんが入ってきたときは特に注意が必要です。「ちょっと酒やたばこを出すだけだから」と甘く見てしまいがちですが、罰則的には非常に重いので、営業者にとって落とし穴となっています。ご注意下さい。
なお、ここでいう提供とは、販売することだけを指しません。その用に供する状態に置くことも含みますので、客自ら持参してきた酒に燗をしたり、グラスや灰皿等の器具を使用させれば、それで酒やたばこを提供したことになります。
ここに挙げられている行為をして捕まると、現在の許可は取消しとなり、さらにその後5年間は新規で許可の申請をすることができなくなってしまいます。これに加えて1年以下の懲役、100万円以下の罰金も受けることになります。
■客引き行為を行った
■客引きの為に立ちふさがったり、つきまとい行為をした
■パチンコ、マージャン、ゲームセンターで現金、有価証券を賞品として提供したり、それを買い取った
■店舗型・無店舗型・映像送信型性風俗特殊営業、店舗型・無店舗型テレクラを無届で営んだ
■上記営業の届出に関し、虚偽記載のある書類を提出した…など
この中で注意すべきなのは客引き行為です。これを甘く見ていると、大変なことになります。
客引きに関しては風営法で罰則を設けていますが、この他にも「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑防止条例)」というのがあって、ここでも客引きに関して規制がかかっています。この条例は東京都の他にもあらゆる地域で施行されています。
また、東京都ではさらに各区で独自の条例を設け、客引き行為に対しての規制をかけていますので、十分に注意して下さい。
なお、客引きに限らず、その他の行為についても、意外な条例が意外な規制をかけていたりします。風営法だけ見ていればいい、というわけにはいかないので、この点も注意して下さい。
■店舗型・無店舗型・映像送信型性風俗特殊営業、店舗型・無店舗型テレクラで法に反する広告宣伝をした
■従業者名簿を備付けなかった、必要な記載をしなかった、虚偽の記載をした
■接客従業者等の生年月日及び国籍を確認しなかった、確認の記録を作成・保存しなかった
■警察職員が報告や資料の提出を求めてきたのに、それをしなかった、それをしたが虚偽であった
■警察職員の立ち入りを妨害した…など
警察官が営業所に立入ってくる場合があります。その時、まず見るのは許可証が見やすい場所に掲示してあるかどうかと、従業者名簿です。
従業者名簿は非常に重要なので、絶対に備えつけておいて下さい。実査の時に担当官から説明を受けた記憶がある、という方もいらっしゃるかと思いますが、時間が経つと忘れてしまうようです。初回は指導を受ける程度で済むことも多いですが、何度も指摘を受けるとそのうち大変なことが待っています…。
従業者名簿に関することで不安な点がある場合は放置せず、必ず当事務所までご相談下さい。
また、従業者名簿に関しては、「風俗営業許可を取った後の注意点」や、「5分でざっくり理解!風営法と従業者名簿(従業員名簿)」でも触れていますので、あわせてご参照下さい。
■許可申請書や添付書類に虚偽記載がある
■特例風俗営業者が必要な届出をしない、虚偽記載のある書類を提出した
■パチンコ、マージャン、ゲームセンターで、遊戯用の玉、メダルなどを営業所外に持ち出させる等の行為をした
■管理者を選任しなかった
■店舗型・無店舗型・映像送信型性風俗特殊営業、店舗型・無店舗型テレクラで変更が生じたのに届出をしなかった、虚偽の届出をした
■深夜における酒類提供飲食店営業を無届でおこなった、虚偽記載のある書類を提出した…など
ここでは深夜における酒類提供飲食店営業を無届で行うことに関し、コメントしておきます。
主食系ではなく酒類中心のお店だけど、午前0時以降はしっかりと店を閉める、というのであれば飲食店営業の許可だけでも大丈夫です。しかし現実問題としてなかなかそうはいかない場合も多いと思います。実際、街中には「ちょっと問題あるよね…」というお店が結構あるように見受けられます。いわゆる無届営業です。
もしその場所が深夜における酒類提供飲食店営業の届出OKな場所であれば、面倒臭がらず、絶対にその届を出しておいたほうがいいです。たまたま延長して営業していた時に警察の立入りがあったら、言い逃れはできません。届出さえしておけば堂々と朝まで営業できるのです。深夜における酒類提供飲食店営業に関しては、「深夜酒類提供飲食店営業と風営法|許可?届出?違反時の罰則は?」の記事も参考になります。
■許可証等を営業所の見やすい場所に掲示していなかった
■相続、法人の合併・分割で許可の承継を受けたが、許可証の書換えを受けなかった
■変更事項が生じているにもかかわらず、届出をしなかった
■風俗営業、特定遊興飲食店営業、深夜における酒類提供飲食店営業を営む者が変更に関する届出をしなかった、虚偽の書類を提出した
■風俗営業、特定遊興飲食店営業の許可証やマル優認定証を返納しなかった(営業をやめた等の場合)
■営業停止の標章を破壊したり汚損した…など
ついうっかりしてしまうのが、許可証等の掲示義務違反です。許可が出たから一安心、ということで許可証を放置していると、それだけで風営法違反となってしまうのです。警察の立入りの時には従業者名簿と並んで確認されるポイントとなりますので、十分に注意しましょう。
また、オープン後に様々な変更事項が生じる場合もあるかと思いますが、そのままにしないよう、お気を付け下さい。この点は、「風営法・風俗営業許可の手続き|変更が生じた場合の対処法は?」でも触れています。
■風俗営業、特定遊興飲食店営業の許可を受けた者が死亡(個人)、解散(法人)した場合に、その親族や清算人等が許可証等を返納しなかった…など
いったん許可を受けたら最後の後始末をきっちりつけましょう、ということです。ただ、ここで対象となっているのは、許可を受けた本人ではなく、その関係者なので、「過料」という比較的軽めのペナルティとなっています。
ここでは風営法違反となる様々な行為をご紹介しましたが、ここで取り上げた行為は、いずれも風営法の趣旨を没却する重大な違反行為となりますので、最後に紹介した10万円以下の過料を除き、すべて刑罰(懲役、罰金)がその担保となっている、という点に十分注意をして下さい。
なお、刑罰を受けた場合は、それで終了、とはならず、それとは別に行政庁による「行政処分」もあわせて行われますので注意が必要です。
その代表的なものは営業停止命令です。経営者であればこれがどれほどの重みをもっているか、よくお分かりかと思います。行政処分には、この他にも許可の取消しや営業の廃止命令、指示処分があります。
ちなみに刑罰が担保となっていないもの、例えば遵守事項違反などについては、通常は最初に指示処分を受けることになりますが、悪質な違反を短期間に繰り返したり、指導や警告を無視したりすると、いきなり許可の取消しや営業停止命令等を受けることもあるので十分に注意して下さい。この点については、「警察から風営法違反を指摘された場合の対処法」でも触れています。
ちなみにこの場合の営業停止期間ですが、一例を挙げると、
・営業時間の制限に違反した場合:20日以上6月以下の営業停止
・騒音・振動の規制に違反した場合:10日以上80日以下の営業停止
…などとなります。
いかがでしょうか。もし半年間の営業停止になったら…それはもはや「廃業しろ」と言われているのと同じ事だと言えます。一度損失額を計算してみるといいと思います。
ですので、風営法を意識した経営を行い、許可を維持・管理していくことは、経営戦略上、絶対に必要なことですし、実際、この点を重視している経営者様のお店は、成功している場合が多いです。
当事務所では単に許可を取るだけでなく、取った後に発生する様々な風営法関連の問題についてもご相談に応じております。
<風営法専門>の事務所として、高度な知識と豊富な実務経験を有しておりますので、少しでも気になる点があるのなら、早め早めにご相談下さい。風営法を守ろうという意思がある限りは、全力でお手伝いをさせていただきます。
※「風営法」と「風適法」は、表現の仕方が微妙に異なり、この点については、こだわると奥が深いです。しかしここでは「ざっくりと理解する」ことが目的ですので、詳細な説明は省略とし、一般的によく使われている「風営法」という表現を使用しています。
また、その他の箇所についても、同様の趣旨から、ざっくりとした表現や内容となっております。予めご了承下さい。
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【執筆者】富岡 勉(とみおか つとむ)
1974年東京生まれ。
■慶應義塾大学を卒業した後、大学院で行政法(行政裁量)を研究。2001年行政書士試験合格。
■現在、東京都行政書士会所属行政書士、富岡行政法務事務所所長。専門は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律と、同法をめぐる裁量問題。理論と実務の両方に詳しい。
■行政書士・富岡勉からのメッセージ
字数等の制約もあるため、ここに全ての情報を盛り込むことはできませんでした…。お伝えしたい情報は、まだまだございます!
このページをご覧になっても問題が解決しなかった場合は、風営法が専門の富岡行政法務事務所まで直接ご相談下さい。「風営法に関するお悩みゼロ」を確約いたします。↓↓
■風俗営業の許可が出る前に営業すると…
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■東京都内:無許可風俗営業の逮捕
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