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風営法で規制している各業態の「営業時間」を知る
風営法では、風俗営業や、それに関連する各業態に対して、様々な規制をかけています。そしてその中の一つに「営業時間」に対するものがあります。
この「営業時間」については、店が盛り上がってきた時にちょっと油断をすると、すぐに違反してしまいがちです。また、取り締まる側もそれはよく承知しています。すでに警察の指導を受け、気にされている方も多いことでしょう。
そのため、営業時間については、皆さん関心があるかと思います。
無制限であってほしい…それがホンネかと思いますが、残念ながら風営法第13条等によって、しっかりと規制がかかっています。そしてその規制は、主に「夜間」という時間帯に対してかかっています。
では、なぜ風営法は風俗営業や関連する各業態に対して、営業時間の規制(特に夜間の規制)をかけているのでしょうか。
それは一日の中でも、夜間が最も人間の理性が緩みやすい時間帯であるとされているからです。
夜間はただでさえ理性が緩みやすい時間帯であるのに、そこにこのビジネスが扱う「酒」や「射幸心」といった要素が絡むと、さらにそれが緩み、「善良の風俗と清浄な風俗環境」を害する可能性があります。風営法は犯罪の中でも特に売春と賭博を警戒していますが、こうした犯罪を誘発する危険性が非常に高まるのです。
風俗営業をはじめとする各業態は、この「酒」、「射幸心」といった人間の理性を緩ませるものに密接に関連するビジネスで、しかもその営業は主に夜間に行われます。
そして実際に過去の歴史を振り返ってみても、接待飲食等営業と呼ばれる業態では売春が、遊技関係の業態では賭博が相当数敢行され、検挙数も多くなっています。
そのため、こういった要素が絡むビジネス、すなわち風営法で規制の対象としているビジネスに対しては、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持するために、営業時間フリー、とはせずにしっかりと規制をかけているのです。
なお、風営法を見ても、具体的な営業時間は記載されていません。例えば風俗営業に関しては第13条、店舗型性風俗特殊営業に関しては第28条で「大枠」が定められていますが、その詳細は条例事項となっています。具体的に突っ込んで知りたい、という場合は、風営法本体だけでなく、各都道府県の条例もチェックする必要があります。
ここでは、東京都の場合を例にとって、風俗営業とそれに関連するビジネスの営業時間について、ざっくりと解説してみたいと思います。
営業時間はすべての業態で一律、というわけではなく、個々の業態ごとに異なっています。
東京都の場合、例えば1号営業(キャバクラ、ホストクラブ等)だと、風営法第13条の原則通り、「深夜」の営業が禁止されています。深夜というのは午前0時から午前6時までのことです。ですので、これ以外の時間帯であれば営業は可能で、「朝キャバ」や「昼キャバ」は法的に見てOK、ということになります。
なお、条例で特別に「午前1時までOK」という地域があります。これを「営業延長許容地域」といいますが、詳しくお知りになりたい方は、「風俗営業許可の窓口一覧」の中から該当する地域(例えば豊島区のところなど)をクリックしてみてください。その地域で午前1時まで営業OKな場所が、「…○丁目」に至るまで詳細に記載されています。
ちなみに、午前1時まで営業の延長が認められる場合は他にもあって、例えば年末年始等の期間がそれにあたります。これを「特別日営業延長許容地域」といいますが、詳細はまた別の機会に譲りたいと思います。
一方、同じ風俗営業でも、4号営業のパチンコ店は、条例で午後11時から翌日午前10時までの営業が禁止されています。
また、5号営業のゲームセンターですが、ゲームセンターに関して「時間」という概念が出てきたときは、「営業時間」と「年少者の立入り制限時間」の両面から考えるようにして下さい。
詳しくは、ゲームセンターの開業と風俗営業許可|規制は?営業時間は?をご覧下さい。
このように業態によって営業時間に違いがありますので、十分に注意して下さい。
クラブ(ここで言うクラブとは、ホステスさんが接待するクラブではなくて、踊るほうのクラブ、つまりディスコのこと)や、ライブハウス、スポーツバー、ショーパブ等の「特定遊興飲食店営業」は、東京都の場合、条例によって午前5時から6時が営業禁止の時間となっています。
店舗型の1号営業(ソープランド)、2号営業(ファッションヘルス)、3号営業(ストリップ)、5号営業(アダルトショップ)と、店舗型電話異性紹介営業(テレクラ)、デリヘルの受付所営業は、東京都内全域において深夜(午前0時から午前6時)の営業が禁止されています。4号営業(ラブホテル)はこの対象外です。
また、無店舗型(デリヘル、アダルトグッズ通販)や映像送信型(アダルトサイト)の場合は、時間の制限がなく、24時間OKとなっています。
スナック、bar<バー>、ガールズバー、居酒屋といった酒類提供飲食店には、営業時間の制限がありません。ですので24時間営業してもOKです。
ただし「接待」と呼ばれる行為をすると「風俗営業」となり、原則午前0時までとなります。十分に注意して下さい。接待って何?と思われた方は、「私って風営法に関係ある?」をご覧ください。
なお、接待をしなくても、午前0時を過ぎて営業する場合は「深夜における酒類提供飲食店営業」となりますので、飲食店営業の許可だけでは営業することができません。公安委員会に対する届出が別途必要となります。詳しくは当事務所までお問い合わせ下さい。
いかがでしょうか。ここでは東京都の場合を例にとって、風俗営業をはじめとする、風営法で規制されている各業態の営業時間について、ざっくりとご説明をしました。
営業時間を守らないと、警察から指示処分等を受け、度重なるなど悪質と認められる場合は、20日以上6月以下の営業停止処分となる場合もあり得ます。十分にご注意下さい。
ちなみに営業者が守らなければならないのは、営業時間だけではありません。風営許可を取った後の注意点や、これはNG!風営法違反もあわせてご覧になり、理解を深めておくことをおススメします。
営業時間等についてご不明な場合で、風営法のプロによる相談を受けたい、という方は、当事務所までご連絡いただければ、あなたの店舗に合わせた具体的な情報をお教えいたします。
ただし当事務所では、風営法に関する具体的なご相談は、出張相談のみのお取り扱いとなっております。あらかじめご了承下さい。
※「風営法」と「風適法」は、表現の仕方が微妙に異なり、この点については、こだわると奥が深いです。しかしここでは「ざっくりと理解する」ことが目的ですので、詳細な説明は省略とし、一般的によく使われている「風営法」という表現を使用しています。
また、その他の箇所についても、同様の趣旨から、ざっくりとした表現や内容となっております。予めご了承下さい。
「執筆者不明」の記事が多いインターネットの世界ですが、品質を重視する富岡行政法務事務所では、この点を明確にしています。この記事は、下記の富岡勉(富岡行政法務事務所)が作成しております。
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【執筆者】富岡 勉(とみおか つとむ)
1974年東京生まれ。
■慶應義塾大学を卒業した後、大学院で行政法(行政裁量)を研究。2001年行政書士試験合格。
■現在、東京都行政書士会所属行政書士、富岡行政法務事務所所長。専門は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律と、同法をめぐる裁量問題。理論と実務の両方に詳しい。
■行政書士・富岡勉からのメッセージ
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