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飲食店営業の問題だけでなく、「風営法」も絡んできます…ご注意下さい
居酒屋やbar(バー)は、当然のことながら飲食物を扱います。そのため、飲食店営業の許可が必要だろう…こう思われる方は多いです。しかし、そこから一歩進んで、「でも…うちは深夜にも営業するから、深夜営業に関する手続きとかも何か必要なのかな?…飲食店営業の許可だけじゃだめだよね…多分…」と考える方はあまり多くありません。
この点をあやふやにしたまま深夜に営業を続けていると、ある日突然警察から「風営法違反!」と警告される可能性があります。ですので、こうならないために、この点について、もう少し突っ込んで考えてみることにしましょう。
居酒屋やbar(バー)、こうした業態が、実は「酒類提供飲食店営業」というカテゴリーに入るものである、ということを知っている方は少ないです。
そしてこの「酒類提供飲食店営業」を、深夜の時間帯(午前0時から午前6時)にも営もう、という場合は…飲食店営業の許可のほかに、公安委員会に対して別途「深夜における酒類提供飲食店営業」の営業開始届出書も提出する必要があるのですが、これを知っている方はもっと少ないです。
この手続きをしないで営業をすると、風営法第54条違反として、50万円以下の罰金を受ける場合があります。
なお、午前0時までにキッチリ店を閉める(このキッチリというところが大事です)、というのであれば、酒類提供飲食店営業には該当しますが、「深夜における~」とはなりませんので、別途の届出は不要で、飲食店営業の許可だけで営業することができます。
酒類提供飲食店営業というのは、飲食物の中でも酒類(ここで言う酒類とは、アルコール分1度以上の飲料のことをいいます)をメインに提供する飲食店営業のことです。
主食系(米、麺など)の飲食物をメインに提供する場合は、普通の飲食店営業の許可だけで営業できます。主食がメインというのは、例えばそば屋とか定食屋とか、そういった業態のことをイメージして下さい。
これに対し、主食系ではなく、酒類をメインに提供する、という場合は、分類的には「酒類提供飲食店営業」というカテゴリーに入るため、食品衛生法だけでなく、風営法からも別途の規制がかかることになるのです。
通常、居酒屋やbar(バー)といった業態で米や麺をメインに出す、ということはないと思われます。アルコール分1度以上の飲料、つまり「酒」がメインになるのではないでしょうか。
「うちは飲むのがメインだけど…ちゃんと米や麺も出してるよ、最後のシメとして…」という場合は、主食が<メイン>とは言えません。居酒屋やバーが、定食屋と同じ主食系の業態であるというのは、ちょっと無理があります。ですので、「酒類提供飲食店営業」として風営法の規制がかかる、と思って下さい。
ちなみにこの「酒類提供飲食店営業」には、居酒屋やbar(バー)の他に、スナックやガールズバー、ゲイバー…などといった業態も入ると、一般的には考えられています。
ただし、これらいずれの業態も、お酌やデュエットなどといった行為を、特定少数の客に対して継続的に行うことはできません。
お酌やデュエットは、法律上「接待」と呼ばれる行為となりますので、これらを行いたい場合は、酒類提供飲食店営業としてではなく、「風俗営業」として、許可を取って営業することが必要となります。
なぜ、飲食店を主食系のものとそうでないものに分け、後者を風営法上の規制対象にするのかといいますと、酒メインの業態は主食メインの業態と比べると酔客が騒ぎやすく、風営法の目的である「善良の風俗と清浄な風俗環境」を害する可能性がある、と考えられているからです。
主食系の業態は、さほど大きな問題が発生しないが、酒メインの業態は実際問題としていろいろと問題を起こしてきた…そういった歴史的いきさつも、酒メインの業態、すなわち酒類提供飲食店営業が規制対象となっていることの背景にあります。
ただ、この酒類提供飲食店営業にあたる場合でも、営業時間が午前6時から午後10時までの間に限る、という場合は、風営法上の規制はほとんどありません。カテゴリー的には、一応「酒類提供飲食店営業」に入りますが、実際は通常の飲食店営業とほぼ同じ感じで営業できます。
この時間帯であれば、酒メインだとしても大きな問題は生じにくく、「善良の風俗と清浄な風俗環境」等に対する影響も小さいからでしょう。
この時間内で営業が完結するのなら、20歳未満の者に酒類やたばこを提供しないように注意する…など、さほど大きな規制はありません。
これに対し午後10時以降も営業するよ、という場合は、段々と規制がかかってきます。
例えば従業者名簿というものを備えつけることが風営法で定められています。記載内容や、その前提としての事実関係の確認方法などが、風営法やその内閣府令、国家公安委員会規則でキッチリと決まっています。ですので、自己流でやっていたのではダメです。これは警察が立入った時に必ず見られますので、きちんと整えていないと、風営法違反を指摘されてしまいます。
そして、午前0時以降も営業するよ…という場合は、先に述べたように、飲食店営業の許可だけでなく、公安委員会に「深夜における酒類提供飲食店営業」の営業開始届出もしなければなりません。
この届出ですが、なかなか厄介なものなので、十分に注意して下さい。
提出書類も、飲食店営業の時のような簡易な図面ではなくて、もっとキッチリとした図面が求められますし、添付書類の数も全く違います。
この手続きをご自身でなさるのはなかなか大変だと思いますので、お困りの場合は風営法が専門の当事務所を頼って下さい。
この他にも深夜に酒類提供飲食店営業を営む場合には、様々な規制がかかります。
やってはいけない場所(例えば都市計画法に定める用途地域のうち、第一種低層住居専用地域などの住居系地域はダメ!)とか、やってはいけない店内の造り(面積や照度、防音など)、やってはいけない行為(接待といわれるお酌やデュエットなどの行為。詳しくは私って風営法に関係ある?をご参照ください)…など、いずれも風営法で細かく決められています。油断していると、すぐに警察がやってきて指導の対象となってしまいます。
特にこのうちの「接待」といわれる行為をしてしまうと、風俗営業の無許可営業(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又はこの両方)という重い罰則を受ける場合がありますので、注意して下さい。取締り強化の時期などは、こうしたお店が一網打尽にされることもあります。
このように酒類メインの飲食店を営業する場合は、単なる飲食店営業の問題だけでは済まず、風営法も絡んできますので、不安な点がある場合は、風営法が専門の当事務所を頼っていただければ、と思います。
実録!お客様の声にもあるように、深夜における酒類提供飲食店営業の手続きは、想像以上に大変です。実績を多く残している当事務所に依頼してしまったほうが、自分でウンウンうなるよりも「早くて楽チン!」です。
※「風営法」と「風適法」は、表現の仕方が微妙に異なり、この点については、こだわると奥が深いです。しかしここでは「ざっくりと理解する」ことが目的ですので、詳細な説明は省略とし、一般的によく使われている「風営法」という表現を使用しています。
また、その他の箇所についても、同様の趣旨から、ざっくりとした表現や内容となっております。予めご了承下さい。
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【執筆者】富岡 勉(とみおか つとむ)
1974年東京生まれ。
■慶應義塾大学を卒業した後、大学院で行政法(行政裁量)を研究。2001年行政書士試験合格。
■現在、東京都行政書士会所属行政書士、富岡行政法務事務所所長。専門は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律と、同法をめぐる裁量問題。理論と実務の両方に詳しい。
■行政書士・富岡勉からのメッセージ
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