「深夜営業許可」って…実は「俗称」って知ってましたか?
深夜営業許可…深夜に飲食店を開業される方であれば、この言葉、一度は耳にしたことがあるかと思います。
…など、該当しそうな業態はたくさんあります。
この他に関連する言葉として、
なども聞いたことがあるのではないでしょうか。
「深夜営業許可」「風俗営業」「深夜酒類提供飲食店営業」「特定遊興飲食店営業」…何だか頭の中が混乱してきて、よくわからない…という方も多いかと思います。
そこで、ここでいったん頭の中を整理してみましょう。
まず、「深夜営業許可」という言葉ですが、これは手続き上の正式名称ではありません。
深夜に営業するお店で何か許可を取らなければならない…こういったことから「深夜営業許可」という言葉が広く使われているのだと思いますが、深夜営業許可というのは、あくまでも日常用語として使われている俗称だと思ってください。
役所の窓口に行って「深夜営業許可…」と言えば、担当官が意図を汲み取ってくれて話は通じるかと思いますが、実際に手続きをする時には、例えば「深夜における酒類提供飲食店営業営業営業開始届出書」などといった用紙に記入することになります。「深夜営業許可申請書」というものは、実はありません。
「深夜営業許可」というのが、いわば「俗称」であるということはお分かりいただけたかと思いますが、では具体的に深夜帯に営業するお店をどういった形で分類していけばよいのでしょうか。ここでざっくりと概観をつかんでみることにしましょう。
まず、分類の基本的な考え方として、その店がどういった内容の営業をするのか、を考えることが重要です。
スナックだからこの手続き、バーだからこの手続き、キャバクラだからこの手続き…というように「業態のくくり」で決まっているわけではないのです。もちろん大枠で見れば大体のおさまりどころというのはあります。
しかし、正確な分類は、あくまでも「その店の営業実態」に基づきますので、十分に注意してください。例えば、店名が「富岡行政法務事務所」でも、接待とよばれる行為(後述します)をするのであれば、「風俗営業」にあたります。
以下、深夜営業許可という言葉に関連するいくつかの業態を挙げ、解説を加えることにします。参考になさってください。
深夜酒類提供飲食店営業…これは一般的にスナックやバーなどが該当するとされています。
要は深夜の時間帯にお酒メインの飲食物を提供するけど、キャストさんなどの従業者が個別について<お酌>や<デュエット>などの行為をすることはない、というものです。ちなみにお酌やデュエットなどといった行為は風営法で「接待」といわれています。
「接待」については、風営法で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。この「接待」とよばれる行為をするかどうかが「深夜酒類提供飲食店営業」と「風俗営業」を分ける大事なポイントとなります。もし「接待」をするのであれば、それは「風俗営業」となりますので、深夜酒類提供飲食店営業の手続きで営業することはできません。
このように、分類を考える上でとても大事な概念となる「接待」なのですが、風営法の表現って漠然としていますよね?
そこでどういったことが「接待」にあたるのかを知りたい方は、「私って風営法に関係ある?|許可・届出が必要な業種、全てわかります」をご覧になって下さい。「接待」の詳細がわかります。
もしあなたのやろうとする業態が「接待」行為をするとなると、それは「風俗営業」となりますので、営業時間は原則午前0時、例外午前1時までとなり(東京都の場合)、朝まで営業することはできなくなってしまいます。風俗営業には時間の制限があるのです。
一方の深夜酒類提供飲食店営業は、風俗営業とは異なり、時間の制限がないので、朝まで営業することができます。
そのため、手続き的には「深夜酒類提供飲食店営業」で届出をしているけれど、実態として風俗営業の内容で営業しているお店も散見されます。
しかし、これは風営法上、「風俗営業の無許可営業」ということになりますので、状況により、風営法第49条違反として、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はその両方、という罰を受ける場合があります。十分に注意してください。
深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているスナックのママさんが、お客さんとデュエットをして風営法違反となるというのはよく聞く話です。
なお、この「深夜酒類提供飲食店営業」にあたる営業をする場合は、営業所を管轄している警察署に「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」を提出します。手続きは届出書1枚を出して終わり…というわけにはいかず、営業所内のかなり詳細な図面や、様々な添付書類を付けなければなりません。
【参考記事】
風俗営業というのは、キャバクラやホストクラブなど、キャストさんが「接待」とよばれる行為をする業態です。
深夜酒類提供飲食店営業と異なり、お酌やデュエットなどを堂々とすることができますが、営業時間は原則午前0時、例外午前1時までとなっています(東京都の場合)。
1時以降も営業すると、時間外営業をしたということで処分の対象となってしまいます。
また、後述する特定遊興飲食店営業ではないので、深夜(0時以降)に遊興という行為をさせることはできません。
この「風俗営業」にあたる営業をする場合は、営業所を管轄している警察署に「許可申請書」を提出します。深夜酒類提供飲食店営業と同様、手続きは書面を1枚を出して終わり…というわけにはいかず、営業所内のかなり詳細な図面や、様々な添付書類を付けなければなりません。
ここまで読んでお分かりかと思いますが、「深夜における酒類提供飲食店営業」の場合、朝まで営業することができますが、その代わり「接待」をすることはできません。
一方、「風俗営業」の場合は、原則午前0時、例外午前1時までしか営業できない代わりに、「接待」を堂々と行うことができます。
このどちらか一択となりますので、この点については経営者様のご判断、ということになります。
【参考記事】
特定遊興飲食店営業というのは、深夜に酒を出して遊興という行為をさせる営業のことで、クラブ(踊るほうのクラブ、昔でいうところのディスコ)が代表的なものです。
特定遊興飲食店営業は深夜に遊興という行為をさせることはできますが、風俗営業ではないので、接待行為は一切行うことができません。
この「特定遊興飲食店営業」にあたる営業をする場合は、営業所を管轄している警察署に「許可申請書」を提出します。深夜酒類提供飲食店営業や風俗営業と同じように、手続きは書面1枚を出して終わり…というわけにはいきません。営業所内のかなり詳細な図面や、様々な添付書類を付けなければならず、なかなか大変です。
【参考記事】
以上、ここでは「深夜営業許可」という言葉が実は俗称であるということと、もしそれを正しく分類するとすれば、「深夜酒類提供飲食店営業」「風俗営業」「特定遊興飲食店営業」のいずれかにあたる場合が多い、ということについて、ざっくりと解説をしてみました。
文字数の制約もありますので、ここですべてをお伝えすることはなかなか難しいものがあります。また、面倒なことは考えたくない、という方もいらっしゃることでしょう。
そのような場合は、手続き関係の一切を風営法が専門の当事務所に任せてしまう、という方法もあります。
すべてを任せてしまった場合、あなたがやることは「ハンコを押すだけ」となります。風営法の難しい分類を考えたり、面倒な手続きをしなくても済みますので、楽チン!です。
※「風営法」と「風適法」は、表現の仕方が微妙に異なり、この点については、こだわると奥が深いです。しかしここでは「ざっくりと理解する」ことが目的ですので、詳細な説明は省略とし、一般的によく使われている「風営法」という表現を使用しています。
また、その他の箇所についても、同様の趣旨から、ざっくりとした表現や内容となっております。予めご了承下さい。
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【執筆者】富岡 勉(とみおか つとむ)
1974年東京生まれ。
■慶應義塾大学を卒業した後、大学院で行政法(行政裁量)を研究。2001年行政書士試験合格。
■現在、東京都行政書士会所属行政書士、富岡行政法務事務所所長。専門は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律と、同法をめぐる裁量問題。理論と実務の両方に詳しい。
■行政書士・富岡勉からのメッセージ
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